こんにちは、レイレイです。私が所属している法人でも、外国人スタッフの雇用がここ数年で増えてきています。ベトナム・フィリピン・インドネシアなど、出身はさまざま。すでに30名近くが、ご利用者の生活を支える仲間として働いています。
一緒に働いて感じるのは、みなさん本当にケアの仕事に真剣で、ご利用者への敬意もあるということ。ただ、その力を100%発揮するうえで、どうしてもひとつ大きな壁になるのが「介護記録」でした。
会話の日本語と、介護記録の書字日本語は、まるで別の言語です。敬語・専門用語・「ですます調」と「体言止め」の使い分け・漢字……。日本人の新人さんでも数か月かかる慣れが、外国人スタッフにはさらにのしかかります。
「日本人スタッフが代筆すれば早い」のは事実です。でも、本人たちは決してそれを望んでいません。自分の手で書きたい、自分の言葉で残したい——その気持ちに、現場として何かできないだろうか。
そう考えて作ったのが、今回ご紹介する 「タップで介護記録(多言語対応)」 という小さなWebツールです。
どんなツール?
スマホでもPCでも使えるWebツールです。外国人スタッフ本人が、自分のペースで介護記録を書けるようサポートすることが目的です。
使い方は3ステップ
ステップ1:「何の記録?」を1タップ
食事・入浴・排泄・服薬・バイタル・夜間・処置・リハビリ・活動・心身・申し送り・その他の 12カテゴリ から選びます。デイサービス・特養・老健・グループホーム・有料老人ホーム・サ高住・訪問介護・ショートステイ・療養病棟まで対応しています。

ステップ2:「あったこと」をチェックでタップ
「全部食べた」「水分いつも通り」「自分で食べた」など、現場でよく使う表現がチップになって並びます。チップにはベトナム語のラベルも併記されているので、母国語で意味を確認しながら選べます。

ステップ3:「記録を作る」を押すとAIが変換
出てくるのは、現場で実際に使われている形の介護記録です。記録ソフトにそのままコピペできます。

工夫したポイント
1. 文体を「端的」と「丁寧」で切り替えできる
実務では、現場で使われている端的な体言止めスタイル(「タケ様、主食・副食全量摂取。水分量普通。自力摂取。」)がデフォルトです。日本人スタッフが見ても違和感のない記録になります。
「丁寧」モードは、同じ内容を丁寧な日本語で言うとどうなるかの学習用として使えます。本人が「正しい敬語表現」を覚えていく教材になります。

2. 漢字すべてにふりがな自動付与
専門用語(傾眠・不穏・摂取・全介助 等)にはベトナム語訳とやさしい日本語の解説が自動で付きます。漢字にはふりがなもOFF/ONで切替可能。記録を書きながら、日本語そのものも自然に覚えていけます。
3. 複数記録の連続入力+まとめてコピー
「もう一件追加」ボタンで利用者名を保持したまま次の記録へ進めます。1セッションで複数名の記録を仕上げて、ご利用者ごとにまとめてコピーできる「今日の記録一覧」機能つき。月末・週末のまとめ作業を少しでも軽くしたいと思って入れました。

4. 「むずかしい記録を読む」モード
逆方向のモードもあります。日本人スタッフが書いた申し送り(「傾眠傾向あり」「不穏な様子」など)を、やさしい日本語+ベトナム語訳に変換するモードです。新人さんへの指導や、多国籍チームの情報共有のお供にどうぞ。
ChatGPTがあるのに、なぜ専用ツール?
正直に書きます。このツールがやっていることの大部分は、ChatGPTでも実現できます。プロンプトをちゃんと書ける人にとっては、こちらは不要かもしれません。
ただ、現場の外国人スタッフの中には:
- スマホしか持っていない
- アカウント作成・課金が壁になる
- そもそも「介護現場での正式な表現」を知らないので、的確なプロンプトを書きにくい
そんな方が ボタンを押すだけで完結する ように、現場の語彙とチェックリスト形式に最適化しました。プロンプトのパッケージング、と言ってしまえばその通りなのですが、その「最後の数センチ」に意味があると思っています。
こんな現場で使ってもらえたら
- 外国人スタッフを受け入れている施設・事業所さま
- 「記録」のところでつまずきを感じている外国人介護スタッフ本人
- 多国籍チームの申し送り共有で工夫を探している方
スタッフ研修・OJT・チーム会議の補助教材としても使えると思います。
使ってみた感想を聞かせてください
「他の言語にも対応してほしい」「このカテゴリにこの選択肢を増やしてほしい」など、コメント欄やツールリクエストフォームで教えていただけると改善していきます。外国人スタッフ本人からのフィードバックが一番ありがたいです。母国語でのコメントも歓迎します。
現状はベトナム語のみ対応。タガログ語・インドネシア語などの追加は、現場の声を聞きながら進めていきます。
おわりに
外国人スタッフは、私たちと同じ「介護のプロ」です。言語の壁は確かにあるけれど、それは乗り越えられる壁で、現場として小さな道具で支えていけることもあると思っています。
ご利用者にとっても、ご家族にとっても、多様な背景のスタッフが力を発揮できる現場のほうが、きっと豊かなケアにつながります。
このツールが、その小さな一歩になれば嬉しいです。
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—— レイレイ(デイサービス相談員)



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