生産性向上推進体制加算について調べています。上位の加算Ⅰを算定できるように準備してほしい、という話が施設で出たためです。
調べていて、これは先に知らないと取り返しがつかないというものが1つありました。
先にお伝えします。
加算Ⅰの要件にある「利用者満足度等の調査」は、介護機器を導入する”前”のぶんが必要です。そして、過去に遡って取ることができません。
機器を入れてから気づくと、次にそろうのは1年後になります。
なぜ「事前」でないといけないのですか
加算Ⅰには、加算Ⅱには無い要件が2つあります。そのうちの1つが「生産性向上の成果の確認」です。
成果の確認とは、介護機器を導入する前と後で、決められた指標を比べて、改善したことを示すというものです。比べるのですから、当然「導入前の数字」が要ります。
指標は3つあります。
- 利用者満足度等
- 総業務時間および超過勤務時間
- 年次有給休暇の取得状況
このうち、2と3は勤怠の記録から遡れます。 過去の勤務データを集計すれば、導入前の数字は出せます。
ところが、1の利用者満足度は遡れません。 「去年の満足度を今から調べる」ことができないからです。調査票に答えていただく相手は、いまのご本人です。
つまり、機器を導入したあとで「さあ成果を確認しよう」と思っても、比べる相手の数字が存在しない。ここが落とし穴です。
遡れないと、どうなりますか
導入前の満足度が無い場合、成果の確認ができません。加算Ⅰの要件がそろわないので、次に事前調査を取れる機会まで待つことになります。
新しい機器を導入する予定が当面ないのであれば、その待ち時間は年単位になります。
なお、解説資料には、利用者へのヒアリングによって「機器の導入が満足度に悪い影響を与えていないこと」を確認する扱いについての記述もあります。ただし、これは本来の手順の代わりになるものとして安易に当てにできるものではありません。事前に取っておくのが本筋です。
いま何をすればよいですか
順番は1つだけです。
介護機器を発注する前に、利用者満足度の調査を済ませる。
これだけです。機器の選定や見積もりと並行して、あるいはその前に、調査を終わらせておきます。
すでに機器を入れてしまっている施設の場合は、次の導入の前に必ず取る、という形になります。設備は一度に全部入れ替えるものではないので、次の機会は案外早く来るかもしれません。
加算Ⅰと加算Ⅱは、どこが違いますか
大まかに言うと、加算Ⅱのほうが要件が軽くなっています。
- 介護機器:加算Ⅰは3種類すべて(見守り機器・職員間の連絡にICTを使う機器・介護記録のソフトウェア)が必要。加算Ⅱは1種類以上
- 実績の報告:加算Ⅰは評価項目1〜5、加算Ⅱは1〜3
- 業務分担の明確化:加算Ⅰのみ
- 成果の確認:加算Ⅰのみ
つまり、今回の落とし穴は加算Ⅰだけの話です。まず加算Ⅱから始めて、機器と体制を整えながら加算Ⅰを目指すという進め方もあります。その場合でも、加算Ⅰに進むつもりがあるなら、満足度の事前調査は早めに取っておくほうが安全です。
委員会を開いていれば算定できますか
いいえ、別物です。
生産性向上に関する委員会を定期的に開いていることと、加算を算定していることは、要件としてつながっていません。委員会は開催しているけれど上位の加算は算定していない、という状態は起こり得ます。
算定するには、要件をそろえたうえで、指定権者(自治体)へ届出が必要です。
出典と、ご確認のお願い
この記事は、公益財団法人 介護労働安定センターが公開している「生産性向上のための委員会と生産性向上推進体制加算」の解説資料をもとに整理したものです。
要件の細かいところや届出の様式は、自治体によって扱いが異なることがあります。 実際に算定される際は、必ず指定権者にご確認ください。
まとめ
- 加算Ⅰの成果確認には、介護機器の導入前の数字が要ります
- 総業務時間と年次有給休暇は勤怠記録から遡れます
- 利用者満足度だけは遡れません。機器を入れる前に調査を済ませてください
- 委員会の開催と加算の算定は別物です
- 加算Ⅱには成果確認の要件がありません
取り方の全体像をまとめた資料について
いま私自身が、この加算を取りに行っている最中です。要件の整理、現状の確認、誰にいつ何を聞くか——順番に片づけています。
その過程でまとめたものを、取りに行く方向けの資料として1本にまとめようかと考えています。 要件の一覧、事前にそろえるもの、つまずきやすいところ、現状を確かめるためのチェック表などです。
ただ、ご希望がどのくらいあるか分からないので、まだ作っていません。
もしご興味があれば、公式LINEに 「加算」 とだけ送ってください。ご希望の数を見て、作るかどうかを決めます。
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