こんな人に読んでほしい
- 毎日の送迎表作成に時間がかかっていると感じている
- エクセルや手書きの管理に限界を感じている
- AIを業務改善に使ってみたいけど、何から始めればいいかわからない
はじめに:送迎表、毎日どれくらい時間かけてますか?
デイサービスの朝の風景。
送迎車が出る前に、誰がどの車に乗るか、順番はどうするか、ドライバーに伝わっているか――これを毎日、スタッフが頭の中で組み立てて、手書きやエクセルで管理している施設はまだまだ多いはずです。
うちの施設でも、この「送迎表づくり」は熟練スタッフに頼りきりで、属人化の典型でした。慣れたスタッフがいれば問題ないけれど、休んだら誰もわからない。引き継ぎも「口頭」が中心。
そこで今回、AIツール「Claude」を使って、デイサービス専用の送迎表アプリをゼロから作ってみました。
コードが書けなくても、対話しながら作れる時代になっています。その全プロセスをそのままご紹介します。
まず「こんな感じ」をAIに伝えるところから
最初のリクエストはシンプルでした。
「ホワイトボードでマグネットのネームプレートを動かすような形の送迎表アプリを作ってほしい」
これだけです。
すると、数分後にHTMLファイル1枚が生成されました。開くと――本当にマグネット風のネームプレートがドラッグ&ドロップで動くアプリが動いています。
ダブルクリックするだけ。インストール不要。ログイン不要。インターネットも不要。
「え、これ本物?」と思いながら触ってみると、ちゃんと号車への移動ができて、プレートが「ぬるっと」動く感触まで再現されていました。
v1:最初に生成された基本版

「あれも欲しい、これも欲しい」を重ねていく
最初のバージョンはシンプルでしたが、実際の現場を想像しながら要望を重ねていきました。
v2:順番入れ替え・Googleマップ連動・時間計算
「順番を入れ替えられるようにしてほしい。あと、Googleマップと連動してほしい。出発地と到着地との時間もカウントできるように」
この一言で、次のことが全部できるようになりました。
- 各停留所に「▲▼ボタン」が付いて乗車順を変更できる
- 号車ヘッダーに「🗺 Googleマップ」ボタンが登場。押すと施設→全停留所→施設戻りのルートが一括で開く
- 出発時刻を入力すると、各家庭への到着予定・出発予定が自動計算される
- 停留所間の移動時間(分)も手動調整できる
Googleマップのボタンを押したら「あ、本当に全部のルートが入ってる」と少し感動しました。

v3:折り返し便・車両設定・職員設定
ここからが本格的な現場仕様です。
「1便と2便(折り返し)に対応してほしい。職員設定もできるように。タントやセレナなど、車の種類と何人乗れるか、車椅子対応かどうかも設定できるように。ドライバーと添乗員も設定したい」
これだけ要求しても、全部対応してきました。
車両マスタに登録できる情報:
| 車両 | 定員 | 車椅子折りたたみ | 車椅子乗車 |
|---|---|---|---|
| タント | 3名 | 不可 | 不可 |
| デイズ | 3名 | 1台 | 不可 |
| セレナ | 6名 | 2台 | 1台 |
| キャラバン | 8名 | 2台 | 2台 |
これを登録しておくと、乗り越えたときに赤いバッジで警告が出ます。「あ、この車椅子の方は3号車(セレナ)じゃないといけない」という判断が、視覚的に一瞬でわかるようになりました。
職員もドライバー専任・添乗員専任・兼任を区別して登録でき、各便に割り当てられます。

v4:データが消えない仕組み・テンプレート・CSV
ここで「改善の余地はある?」とAIに聞いてみました。すると正直な評価が返ってきました。
「一番弱いのはデータの堅牢性です。ブラウザのキャッシュを消すとデータが消える。これが実運用で最初に困ります」
これは盲点でした。そこで重点的に対処してもらったのがこの2点です。
① CSVエクスポート/インポート
- 利用者マスタをCSVに書き出し → Excelで管理できる
- 編集したCSVを読み込んで反映
- 全データをJSONで完全バックアップ・復元も可能
② 日付ナビゲーター+曜日テンプレート
- ◀▶ボタンで日付を移動。日付ごとにデータが保存される
- 月曜の配置を一度組んで「💾 月曜テンプレートに保存」
- 次の月曜は「▶ 月曜テンプレートを適用」で一発再現
これで月曜日の送迎表が「テンプレート適用→微調整」だけで完成します。
さらに、利用者の「定期利用曜日」も登録できるようになり、「この人は月・水・金だけ来る」という情報を登録しておけば、自動的にその曜日だけ未割当エリアに表示されます。

実際に使うために必要なものは?
これがこの仕組みの最大の強みで――
ブラウザが使えるパソコンさえあれば、今すぐ動きます。
手順はこれだけです。
- HTMLファイルをダウンロード
- ダブルクリックして開く(ChromeかEdge推奨)
- 使う
アプリのインストール不要。クラウド契約不要。月額費用ゼロ。
「職員に配りたい」となったら、USBメモリかLINEでファイルを送るだけ。受け取った人もダブルクリックで即使えます。
本格的に使いたくなったら
もし「ドライバーのスマホとリアルタイム共有したい」という段階になったら、Webサーバーにアップするだけ。既存のホームページがあればそこに置けます。費用は月500〜1,000円程度です。
実際に使ってみて気づいたこと
良かった点
- 直感的すぎる — PCが苦手なスタッフでも「触ったらわかる」UIになっている
- Googleマップ連動が便利 — 新人ドライバーがルートを確認するのに実際に使えるレベル
- 時間計算が助かる — 「この順番で行ったら何時に終わるか」が一目でわかる
- AI配車機能 — 完璧ではないが「たたき台」として優秀。そこから手動調整すれば十分
課題として残っていること
- ドライバーが「到着した」とタップしても、管理者画面にリアルタイムで届かない(同じ端末でないと意味がない)
- 印刷レイアウトはまだ改善の余地あり
- リアルタイム共有にはサーバーが必要
まとめ:AIは「作ってくれる人」ではなく「一緒に考えてくれる人」
今回の体験を通じて感じたのは、AIは「魔法のように何でも作ってくれるツール」ではなく、「現場の課題を一緒に考えてくれる、ITに詳しい相談相手」だということです。
「こういう課題がある」「こういう使い方をしたい」を伝えれば、それに応えてくれます。
今回のアプリ開発に要した費用:ゼロ円。
かかった時間:チャットしながら数時間。
デイサービスの現場には、IT化されていない「あたりまえの不便」がまだたくさんあります。送迎表はその一つに過ぎません。
「うちでもこんなの作れる?」と思ったら、ぜひ試してみてください。思ったより、ずっと簡単です。
今回作ったアプリの主な機能まとめ
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 🧲 マグネット送迎表 | ドラッグ&ドロップで号車に割当 |
| ▲▼ 順番入れ替え | 乗車順を上下ボタンで変更 |
| 🗺 Googleマップ連動 | 全ルートをワンクリックで開く |
| ⏱ 時間自動計算 | 出発時刻から各家庭の到着・出発予定を表示 |
| 🔄 1便・2便対応 | 折り返し便もそれぞれ管理 |
| 🚗 車両マスタ | 定員・車椅子対応を登録・警告 |
| 👷 職員設定 | ドライバー・添乗員を便ごとに割当 |
| ⚡ AI自動配車 | 制約条件を考慮した自動割当 |
| 📋 曜日テンプレ | 曜日ごとの配置を保存・再利用 |
| 📅 日付管理 | 日付ごとにデータを保存 |
| 💾 CSVバックアップ | データ消去対策・Excelでの管理も可能 |
このアプリはHTMLファイル1枚で動作します。ダウンロードしてダブルクリックするだけで使えます。


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