こんにちは、レイレイです。
最近、私が見ているデイサービスのオープンチャットで、こんな相談が立て続けにありました。
「訪問介護の管理者から、突然デイの管理者になりました。請求はわかるけど、計画書やモニタリングの書類が全然わからない。引き継ぎもなく、ケアマネからは『今までは無かったけど、言わなかっただけ』と叱られて唖然としています…」
「20年介護をやってきましたが、デイの管理者になったらわからないことだらけで苦戦しています」
読んでいて、胸がぎゅっとなりました。引き継ぎゼロで管理者になるって、想像以上にしんどいです。請求業務はソフトが教えてくれるけど、書類は「どこに何があるか」を誰も教えてくれない。気づいたら期限が切れていて、ケアマネさんに「これ無いんですか?」と言われて頭が真っ白になる——。
私はデイサービスの生活相談員を11年やってきました。その間、新しく管理者になる人を何人もそばで見てきました。そこでわかったのは、「最初の30日でやることを間違えなければ、半年後にはちゃんと回せるようになる」ということです。
逆に、最初の30日で順番を間違えると、半年たっても書類の在りかを把握できないまま実地指導を迎えて、青ざめることになります。
この記事では、私が新任管理者さんに「まずこれだけやってください」とお伝えしている内容を、週単位のチェックリスト形式でまとめました。プリントアウトして、机に貼って使ってもらえると嬉しいです。
最初に:いきなり管理者になった人が「やらないほうがいいこと」
逆説的ですが、最初に伝えたいのは「やらないこと」です。焦って手をつけがちなのに、最初の30日でやると消耗するだけのものが3つあります。
- 介護ソフトの操作を全部覚えようとする——必要になった機能だけ、その都度覚えれば十分です
- 全部の書類を頭から読破する——眠くなって翌週には忘れます
- すぐに職員と1on1面談——信頼関係がない状態でやっても本音は出ません
かわりに、最初の30日でやるのはたった3つです。
- 書類の「在りか」を地図にする
- 期限がある書類の「次の期限日」を全部洗い出す
- 次の請求月までに絶対に揃えるべきものだけ最優先で着手する
「全部完璧にしよう」と思うと潰れます。「どこに何があるか」と「いつまでに何が必要か」——この2つさえ把握できれば、足りないものは順番に補えばいいんです。
1週目:書類の「在りか」を地図にする
最初の7日間でやるのは、書類の所在確認だけです。中身は読まなくていい。「これはどこにあるか」を一覧表にすることに集中します。
①事業所の基本書類(最新版がどこにあるか)
- 運営規程
- 重要事項説明書(運営規程と内容が一致しているか)
- 利用契約書のひな形
- 個人情報使用同意書のひな形
- 事業所の指定通知書(写し)
このうち運営規程と重要事項説明書がズレている事業所、けっこうあります。料金改定や加算変更のたびに片方しか直していない、というやつです。実地指導で必ず突っ込まれるので、早めに突合しておきます。
②加算届出書の控え(提出済みのもの一式)
- 処遇改善加算(2026年6月の一本化以降の最新版)
- サービス提供体制強化加算
- 個別機能訓練加算
- 口腔・栄養スクリーニング加算
- 科学的介護推進体制加算(LIFE関連)
- 入浴介助加算(Ⅰ/Ⅱ)
- その他算定中の加算すべて
ポイントは「今、何の加算を算定しているか」と「その届出書がどこにあるか」をセットで把握することです。算定要件を満たさなくなっていることに気づかず請求していた、というのが最悪のパターンなので、最初の1週間で在りかだけは押さえます。
③直近の運営指導/実地指導の指摘文書と是正報告書
これ、新任管理者さんが見落としがちです。前任者が受けた指摘は、放っておくと次回の指導で「改善されていません」と二重に叱られます。指摘内容と是正報告書の控えがどこにあるか、必ず探してください。なければ、自治体の介護保険課に「うちの直近の指導記録を確認したい」と問い合わせれば、内容を教えてもらえることもあります。
④マニュアルと委員会記録一式
- 感染症対策マニュアル+委員会議事録(年2回以上)
- 業務継続計画(BCP:自然災害編・感染症編)+訓練記録
- 虐待防止マニュアル+委員会議事録+研修記録
- 身体拘束適正化マニュアル+委員会議事録
- 苦情処理体制の整備状況+直近1年の苦情記録
- 事故報告書のフォーマット+直近1年分の事故・ヒヤリハット記録
ここは2024年度の法改正で義務化された項目がてんこ盛りのエリアです。マニュアルがあっても委員会議事録がない、研修記録がない、というケースが本当に多い。1週目では「あるかないか」だけ確認して、なければ2週目以降で順次整備していきます。
2週目:利用者ファイルを「期限切れ」目線で点検する
2週目は、利用者さん一人ひとりのファイルを開きます。ここで見るのは「期限が切れている書類はないか」の一点だけです。
利用者ごとに確認する書類
- 通所介護計画書——同意日と次回更新月。未同意・期限切れがないか
- 個別機能訓練計画書——加算算定者で未更新がないか(3か月ごと見直しが原則)
- アセスメントシート——直近のものがあるか
- モニタリング記録——運営規程で定めた頻度を満たしているか(月1回が一般的)
- 居宅サービス計画書(ケアプラン)——ケアマネさんからもらい忘れていないか
- サービス担当者会議の照会/参加記録——更新月・状態変化時に対応できているか
- 重要事項説明書・契約書——押印日があり、保管されているか
Excelでもノートでもいいので、利用者名×書類種別のマトリクス表を作って、それぞれの「最終更新日」と「次回期限」を埋めていきます。地味な作業ですが、ここを乗り切ると景色が一気に変わります。
1人20分かかるとして、利用者30人なら10時間。2週目は他の業務と並行しながらでも、1日3〜5人ずつ進めれば終わります。
「期限切れ」が見つかったときの動き方
必ず見つかります。私が見てきた範囲で、引き継ぎなしの事業所で1件も期限切れがないというケースはほぼないです。
見つかったら、慌てて1日で巻き返そうとせず、こうします。
- 期限切れリストを作る(利用者名・書類名・本来の期限日・現状)
- 緊急度の高いもの(請求に直結する加算算定者の計画書など)から順に整備
- ケアマネさんに連絡が必要なものは、「前任からの引き継ぎ漏れで」と正直に伝えて協力依頼
- 1か月以内に解消するスケジュールを引く
ケアマネさんへの連絡、最初は気が重いですが、「隠して後でバレる」のがいちばん信頼を失います。正直に伝えて協力をお願いするのが、結果的にいちばん早く立て直せます。
3週目:人員・労務まわりを確認する
3週目は、スタッフに関わる書類です。人員配置基準を満たしているかは、管理者として把握しておかないと請求自体が危うくなります。
- 勤務形態一覧表——人員配置基準を満たしているか。先月分の実績で再計算してみる
- 資格者証の写し——介護福祉士・看護師・機能訓練指導員などの資格証コピーが保管されているか
- 健康診断の記録——年1回(業務内容によっては年2回)実施されているか
- 雇用契約書——全員分の最新版が揃っているか
- 法定研修の年間計画と実施記録——虐待防止/身体拘束適正化/感染症/BCP/認知症ケア/接遇など
- ハラスメント対策方針——周知記録があるか
このあたりも、書類自体は前任者が作っているはずなので、まずは「どこに何があるか」の地図に追加していくだけでOKです。研修記録が抜けていたら、その月のうちに30分の研修を1本やって埋める、くらいの感覚で立て直せます。
4週目:対外的な確認と、自分の動き方
4週目は、事業所の外との関係を確認します。ここまで来ると、ようやく顔を上げる余裕が出てきます。
①地域密着型なら運営推進会議の開催履歴
地域密着型通所介護は、おおむね6か月に1回の運営推進会議が必須です。直近2回分の議事録があるかを確認して、次回開催日が決まっていなければ早めに段取りします。出席者は利用者・家族・地域住民代表・市町村職員・地域包括の職員など。
②介護給付費の過誤・返戻の有無
直近3か月の返戻一覧を国保連の請求ソフトで確認。返戻になったまま再請求していない請求がないかを見ます。これも引き継ぎなしだとほぼ確実に取りこぼしがあります。
③居宅介護支援事業所・包括への挨拶
主要なケアマネ事業所と、地域包括支援センターには、1か月以内に挨拶に行きます。「新しく管理者になりました」と顔を覚えてもらうだけで、その後の連絡がぐっとスムーズになります。手土産は不要、名刺と簡単な事業所案内だけで十分です。
④自己点検表で抜けを最終確認
都道府県や市町村が公開している「通所介護事業所の自己点検表」をダウンロードして、上から順に確認します。実地指導でチェックされる項目がそのまま並んでいるので、ここに沿って点検すれば抜けが見つかります。「該当書類の保管場所」欄を埋める形で使うと、1週目に作った地図がそのまま完成します。
30日では終わらない、けど、ここまで来れば呼吸できる
正直に書きますが、30日では何も「完成」しません。書類整備は半年単位、運営の安定は1年単位の仕事です。
でも、30日で「どこに何があるか」と「いつまでに何が必要か」だけ把握できれば、それ以降は慌てずに順番に補えるようになります。これは引き継ぎの有無に関係なく、半年たっても把握できていない管理者さんがいる領域でもあります。最初の30日で地図を作った人は、その後の1年が圧倒的に楽です。
そしてもう一つだけ。冒頭で紹介したオープンチャットの相談、「ケアマネに『今までは無かったけど、言わなかっただけ』と叱られた」というくだりを読んで、本当につらかったです。
引き継ぎなしで全部把握している管理者なんて、どこにもいません。叱られたのは、あなたのせいではないです。それでも目の前の利用者さんとスタッフを守るために、今日から1日ずつ地図を埋めていく——それだけで十分、立派な管理者さんだと、私は思います。
📋 この30日チェックリストを実際にチェックできるWebツールを公開しました。スマホでもPCでも使えて、チェックや「保管場所メモ」はその端末に自動保存されます。印刷もできるので、机に貼って使ってもらえると嬉しいです。
このほかにも、現場で使える小さな無料ツール(入浴順管理・出欠表・ヒヤリハット入力・緊急時カードなど)をデイまめツール一覧にまとめています。気が向いたら覗いてみてください。
——レイレイ(介護現場16年目・生活相談員11年目)


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