こんにちは、レイレイです。
デイサービスで働いていると、この2つの問いは定期的にやってきます。
「取れる加算は、ほかにないか」
「委員会と研修、今年度のぶんは終わっているか」
どちらも、聞かれた瞬間に答えられる人は少ないと思います。加算は数が多く、要件は改定のたびに変わります。委員会や研修は、やったかどうかを覚えている人が1人しかいなかったりします。
この2つの問いに答えるための無料ツールを2本作りました。この記事では、ツールの使い方と、作りながら間違えた話を書きます。間違えた話のほうが、たぶん大事です。
答え:加算は「調べる順番」を決める道具で絞る。減算は「やり忘れ」を日付で止める
先に結論です。
加算のツール(加算の逆引き)は、算定できるかどうかを判定しません。事業所の状況を29個チェックすると、加算が「確認する価値がある」「あと一歩」「まだ距離がある」の3つに分かれて並び、不足している要件と、どの資料のどこを見ればよいかが出ます。
法定義務のツール(法定義務カレンダー)は、委員会・研修・訓練・届出のうち「今年度まだやっていないもの」を、開いた瞬間に赤で出します。減算に直結する項目は最上部にまとめます。実施日と参加人数を記録して、運営指導(実地指導)用の一覧を印刷できます。
なぜ「判定しない」のか。そこから書きます。
作りながら、最初の版の要件が4か所間違っていた
最初は「算定できそうな加算」を出すツールを作るつもりでした。要件をチェック項目に落として、全部満たせば「算定できそう」と表示する。単純です。
公開する前に、告示と留意事項通知、改定のQ&Aと、1つずつ突き合わせました。そこで手が止まりました。最初の版に入れていた要件が、4か所、一次資料と違っていました。
ひとつだけ具体に書きます。サービス提供体制強化加算の要件に「常勤職員が60%以上」を入れていました。これは小規模多機能型居宅介護の要件で、通所介護には存在しません。「そういうものだ」で通してきたことが、資料を開くまで分かりませんでした。
ほかの3か所も似たようなものです。令和6年度の改定で撤廃された配置時間の縛りを、まだあるものとして入れていた。「サービス提供時間帯を通じて専従」と書くべき看護職員の要件を、「常勤専従」と取り違えていた。処遇改善加算の率が令和6年6月の版のまま古かった。
どれも、現場で「たぶんそう」で通ってきたことです。誰にも指摘されず、指摘されない限り気づかない種類の間違いでした。
だから「判定する道具」をやめました
作る側がこれだけ間違えるなら、ツールが「算定できそう」と表示するのは危ない。そう考えて、同じ日に設計を変えました。
- 「算定できそう」という言葉を、「確認する価値がある」に変えた
- 合計の金額を「請求見込み」と読めないように、「確認対象の上限の目安」という言い方にした
- 各加算に「確認するところ」を足した。集団指導資料・留意事項通知(老企第36号)・体制等状況一覧表の3つを、加算の名前つきで案内する
- 最終確認日から半年たつと、画面の上に自動で警告が出るようにした。作った側が次の改定を見落としても、使う人のほうで「古いかもしれない」と気づけるように
判断は、自治体の資料を見てから。ツールがやるのは、どの加算から調べるかの順番を決めることだけです。
加算より先に、減算を見る
作り終えて並べてみて、気づいたことがあります。加算の逆引きの一番下に、減算の一覧を置いていました。虐待防止の措置が未実施なら所定単位数の1%減算。業務継続計画(BCP)が未策定でも1%減算。定員超過や人員基準欠如なら70%に減額。
加算をいくつ積んでも、減算があれば足元から抜けます。そして減算の原因の多くは、制度の知識ではなく「やり忘れ」です。委員会を開いていない。研修をしていない。指針を整備した記録がない。
それで2本目を作りました。
作ったもの①:加算の逆引き(通所介護)
① 前提を3つ入れて、事業所の状況に29個チェック
1日あたりの平均利用者数、月の営業日数、実利用者数を入れます。あとは人員体制・計画と記録・利用者の状況・入浴・外部との連携・処遇改善の6つの区分に、当てはまるものをチェックしていくだけです。入力は端末の中だけに保存されます。
② 加算が3つに分かれて並ぶ
「確認する価値がある」=チェックした範囲では要件に当たっているもの。「あと一歩」=不足が2つ以内のもの。ここが取り漏らしの本命です。「まだ距離がある」=不足が3つ以上のもの。同じ加算の(Ⅰ)(Ⅱ)は併算定できないので、上位が当たっていれば下位は合計から外れます。

③ 不足している要件と「確認するところ」が出る
「あと一歩」の加算を開くと、何が足りないかと、どの資料のどこを見ればよいかが出ます。加算を1つずつ調べる時間を、調べる順番を決める時間に変えるためのものです。印刷すると、検討シートとして会議に持っていけます。
▶ 加算の逆引き(通所介護)を開く(無料・登録不要)
作ったもの②:法定義務カレンダー(通所介護)
① 「今年度まだ」が赤で出る
通所介護に課される委員会・研修・訓練・体制整備・届出を、年度で管理します。開くと、今年度まだ実施していないものが赤、期限が近いものが黄、済んだものが緑で出ます。減算に直結する項目は、最上部にまとめて表示します。

② 実施日と参加人数だけ記録する。氏名は入れない
記録するのは、実施日と参加人数と一言のメモだけです。氏名は入力しない設計にしました。参加者の名前は、施設の出席簿に残せば足ります。ツールに入れる必要はありません。処遇改善加算を算定している、浸水想定区域にある、といった事業所ごとの条件は⚙設定でチェックすると、その事業所だけの義務が一覧に加わります。
③ 運営指導用の一覧を印刷できる
年度末に、運営指導(実地指導)に備えて実施状況の一覧を印刷できます。事業所名は印刷の表題に使うだけで、記録はすべて端末の中に残ります。端末を替えるときは⚙設定の「書き出し」で引き継げます。
このツールにも、最終確認日から時間がたつと警告が出る仕組みを入れています。運営基準は改正されます。載っていない義務が増えているかもしれない、と使う人が気づけるように。
▶ 法定義務カレンダー(通所介護)を開く(無料・登録不要)
正直に書いておきます
どちらのツールも、制度の内容は2026年8月1日時点で確認したものです。次の改定で変わります。単位数も要件も、最終的には必ず指定権者(都道府県・市町村)の集団指導資料でご確認ください。
加算の逆引きは、請求額の見込みを出す道具ではありません。金額はすべて「要件を満たす利用者が全員いた場合」の上限です。実際には対象となる利用者だけが算定対象になります。
そして、最初の版で4か所間違えたツールです。使っていて「これは違う」と気づいたら、ツールの右下の💬から教えてください。直します。
まとめ
- 加算のツールは算定できるかを判定しない。調べる順番と、見る場所を示すだけ
- 理由は、最初の版の要件が4か所、一次資料と違っていたから。作る側が間違えるなら、判定させない
- 加算をいくつ積んでも、減算があれば足元から抜ける。減算の原因の多くは「やり忘れ」
- 法定義務カレンダーは「今年度まだ」を赤で出す。氏名は入力しない設計・運営指導用の一覧を印刷できる
- どちらも最終確認日から時間がたつと警告が出る。制度のデータは腐る。腐ったことを仕組みで検知する
- → 加算の逆引き/法定義務カレンダー(無料・登録不要・端末内完結)
道具を作る作業は、自分の知識を疑う作業でした。そこで得たものを、判定ではなく「見る場所」の形で渡すことにしました。
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